関係
子どもの今の欲求を生かす

子どもが元々持っている基本的欲求を活かすと、自然な成長・発達が促されます。
しかし、子どもの欲求と親が考える欲求にミスマッチがあると、欲求を活かせなくなる場合もあります。
たとえば、生存の欲求が強い子の場合、行動する前に「〇〇してもいい?」と確認したり、見通しが立たない状況に不安を感じたりします。
この時、子どもの欲求と親の欲求が異なると、安心できるように関わりつつ、どこかで「そこまで心配することじゃないでしょ」と考えてしまうかもしれません。こうした欲求のミスマッチが、お互いへの理解を妨げることがあるのです。
ほかにも、欲求のミスマッチとして次のような例があげられます。
自由の欲求が強い子に関わる場合
子どもが「〇〇したいなぁ」と発言。親はよかれと思って「いいね!やってごらん」と言う。すると子どもは「やらされている感」を覚え、途端にやる気を無くしてしまった。
似ていると思ったら違った場合
子どもと自分(親)は考えが似ていると思ったら、実は欲求が違い、考え方も違っていた。
欲求が異なることで、子どもの行動がまったく理解できなかった
親子でも、欲求が異なることはよくあります。大切なのは、お互いの欲求が違っても理解しようとしたり、考えを擦り合わせたりすることです。お互いに歩み寄ることで、心地よい親子関係を築けるでしょう。
お子さんの欲求を活かしたい、親子でいい関係をつくりたいと思った時は、こうした欲求のミスマッチが起きていないか、まず確認するようにしましょう。
欲求のミスマッチが続くと

欲求のミスマッチが続くと、欲求を満たすために不適切な行動をとることがあります。たとえば、かんしゃく・必要以上に自分を責める・無気力になるなど、その子によって反応はさまざまです。
こうした状況を防ぐために、保護者の方はお子さんの行動を気にかけていきましょう。
「この子は今なにがしたいのかな」「なにか困っているのかな」と気にかけることで、欲求を満たす関わりができます。
例)子どもが冷蔵庫から牛乳を取ろうとしている場面
子どもの欲求を満たす関わり

- 何がしたいのかを見ながら推測する
- 頑張ればできそうと思ったら見守る
- 手伝いが必要そうなら「手伝う?」と声をかける
- 手伝いはいらないと言われたら「困った時は言ってね」と声かけ、見守りを継続する
- こぼす、落とすなどの行動は見守るまたはサポートする
- 危ない様子がみられたら適宜サポートする
「どうしても牛乳をこぼしてほしくない」と思った時は「ちょっと手伝わせてね」と言ったり、一人分だけ注ぐよう伝えたりするとよいでしょう。また、保護者の方用に水を注いでもらい満足してもらうのもおすすめです。アイデア次第で、お子さんが欲求を満たせるようサポートしていけるでしょう。
子どもの欲求が満たされにくい関わり

- 子どもの様子をよく観察しない
- 確認せずに牛乳を注いでしまう
- こぼしそうになったら叱って牛乳を取り上げる
お子さんが牛乳をこぼした時、「ほら言ったじゃない」と叱りたくなることもあるでしょう。しかし、子どもを責めるのではなく、「失敗したらこれで拭くよ」「片付けはこうやるんだよ」「次はママ/パパと一緒にやろうね」と伝えることで、子どもの学びを深められます。失敗した時のリカバリー方法や、できる・できないの判断の仕方、失敗しないための対策などを、日常生活で教えられるのです。
このように、お子さんの現在の欲求に焦点を当てると、適切に欲求を満たすサポートができます。また、お子さんの行動をよく見て、気にかけたり、適宜サポートしたりすることで、欲求を満たしつつ、学べるように手助けできるのです。
子育てをしていると、過去の経験や将来への不安にとらわれることもあるでしょう。しかし、いまのお子さんの欲求に焦点を合わせて成長を見守ることで、親子でいい時間を過ごせるはずです。
まずは、お子さんが自らの欲求を満たせるように関わること、お子さんに干渉しすぎないようにご自身の欲求を満たすことからはじめて、お互いに心地よい関係を築いていきましょう。
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