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人は欲求によって内側から動機づけられる

私たちは外からの刺激を「情報」として取り込み、内側からの「動機づけ」によって、行動を選択します。つまり、すべての行動は自分自身で選んでいるのです。

たとえば、お子さんが外で大泣きした時、こう考えたことはありませんか?


  • 「人の目もあるから泣き止んでほしい」
  • 「静かにしてほしい」
  • 「なんとかしなきゃ、焦る」
  • 「(子どものせいで)イライラする」


一見、「子どものわがままやかんしゃくに付き合わされている」ように思う方もいるのではないでしょうか。

しかし、この場面を別の角度から、少しだけ深く見てみると、次のように解釈することもできます。


  • 「人の目もあるから泣き止んでほしい」
  • 「静かにしてほしい」


上記の言葉の裏には、「子どもが泣くと思っていなかった」「泣かせたいわけじゃないのに、どうしよう」などの焦りがみられます。保護者の方の「〇〇したい」「こうありたい」(欲求)が満たせない状況ともいえるでしょう。


  • 「なんとかしなきゃ、焦る」
  • 「(子どものせいで)イライラする」


親も子も欲求が満たせず、焦りやイライラが募り、叱ったり、なだめたりといった行動を起こそうとしています。

このように、子どもの行動ではなく、保護者の方の欲求に焦点をあてると、「自分で自分の行動を選んでいる」ということが理解できるのではないでしょうか。

同じ状況でも、怒る人・怒らない人がいるのは、私たちが行動を選んでいる証ともいえます。

先ほどの「こどもが外で大泣きした場面」でも、困ってオロオロする人もいれば、怒鳴って言うことを聞かせようとする人、「あらあら」と見守る人など、人によって対応はさまざまです。

こうした行動の違いに、良し悪しをつける必要はありません。大切なのは「子どもや環境のせいで大変な思いをした」と思うよりも、「大変な状況でも、自分の行動は自分で選べる」と気付くことです。自分で自分の行動を選べると思うだけでも、心に余裕が生まれます。

子育てで悩んだ時は子どもの行動を変えるのではなく、自分の行動を選び直す気持ちで、過ごしてみるとよいでしょう。

過去の経験が行動を左右することもある

欲求以外にも、行動を左右する要因として「過去の経験」があげられます。

たとえば「子どもが泣いたことを注意された」「子どもが泣き止まず、周囲から白い目で見られた」などの経験から、泣かせないように気を張ってしまう方は少なくありません。「なんとかしなければ」という思いから、あやしたり、機嫌を取ったり、うまくいかずイライラしたりすることもあるでしょう。

こうした「過去の経験」も、親の心の内側に存在しています。では、欲求や過去の経験があると、行動は変えられないのでしょうか?その答えは、次の記事でご紹介します。

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