基本的な
自分の行動は変えられる

私たちは、欲求や過去の経験から得た「価値観」をもとに、行動を決めています。
価値観とは「〇〇すべき」「〇〇したほうがいい」「〇〇したい」「〇〇が好き」など、その人独自の感覚や考え方のこと。価値観を常に意識することは難しく、無意識に人や自分に押し付けてしまう可能性があります。
つまり、自分にどんな価値観があるのか気付ければ、自分の行動を理解でき、コントロールしやすくなります。
過去の経験や生まれ持った基本的欲求は変えられません。しかし、価値観は変えられます。自分自身を変えたいと思った時は、行動のもととなる「価値観」に気付くことから始めましょう。
無意識の価値観に気付くために

「自分を変えたい」と思ったら、価値観を意識することが大切です。しかし「私にはどんな価値観があるのかな」と意識し続けるのは難しいもの。そんな時は価値観の天秤をイメージしてみましょう。
価値観の天秤

人は、行動する前に「目の前の状況」と「価値観」を天秤にかけています。
たとえば、バスでご年配の人を見かけ、席を譲ったとしましょう。この時、席を譲るという行動の前に「バスにご年配の方がいるという状況」と「ご年配の方には席を譲るべきという価値観」を天秤にかけてから、席を譲っています。
つまり、人は目の前で起きた状況と価値観を比較した上で行動しているのです。
嫌なことがあった時に落ち込む人もいれば、気にしない人もいるのは、価値観が異なる可能性があります。価値観は人それぞれ違うため「普通はこうすべき」「常識でしょ」と偏って考えすぎないように、注意しましょう。
価値観の押し付けに気づく

価値観には、その人のポリシーや信条、慣習、常識などが含まれます。人は、無意識に自分の価値観を押し付けて、他人を変えようとしがちです。
しかし、自分の価値観を伝えることはできても、他人を変えることまではできません。あなたの教えに従うかどうかは、その人次第なのです。
子育てをしていると、お子さんに食事のマナーや挨拶の仕方などを、教えなくてはいけない場面がたくさんあります。「子どもがちゃんとしていないと、周囲から責められる」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、必要だからと言って「どうしてそんな箸の持ち方をするの!」「人に会ったら普通は挨拶しなきゃダメでしょ!」と強要する言い方は、親子の関係悪化につながってしまいます。
あなたができることは、お子さんが成長する上で必要なマナーやルールを教えることであり、お子さんの行動を変えることではありません。「この子ができないのは私の責任」とご自分を責める必要はないのです。
お子さんにはお子さんの価値観があります。そのことを受け入れ、価値観を押し付けていないか振り返る姿勢を持ちましょう。また、あなた自身も、自分に常識や価値観を押し付けていないか思い返してみましょう。価値観の押し付けに気づき、お子さんの考えを尊重する姿勢を見せれば、お子さんもあなたの考えを受け入れる余地が生まれるかもしれません。
正しいか・正しくないかではなく、お子さんの成長や、親子の関係のために何が大切かを考え、行動していきましょう。
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