解説・説明 (子ども)
力の欲求が弱い人
- 子ども
- 弱い欲求

評価や達成を求める欲求
力の欲求とは「人から認められたい」「何かを達成したい」「高収入や社会的地位を得たい」と考える欲求です。人間特有の欲求であり、他の生物は持ち合わせていません。この欲求が弱い人は、他者評価や勝ち負けへの興味が薄い傾向がみられます。
力の欲求が弱い子は「評価や勝負事にこだわらないタイプ」
考え方や行動の傾向
競争を避け、人の上に立つことを好まないタイプです。勝ち負けや他者からの評価にこだわらないため、周囲と摩擦を起こすことなく、競合しない関係を築いていけるでしょう。
気にならないこと
- 勝敗
- 達成
- 社会的評価
ポイント
力の欲求が弱い子は、勝敗や社会的な評価をあまり気にしないタイプです。そのため、やる気や向上心がないように見える時があるかもしれません。
達成したい目標ができた時は、数字や勝ち負けに固執しないようにしましょう。また、周囲も数字や勝ち負けに固執しないように注意する必要があります。お子さんの強い欲求を活かした関わりで、目標達成を目指しましょう。
力の欲求が弱い子のための9か条
Base(ふだんの関わり)

「見てるよ・気付いているよ」で魅力を育む
目に見える成果や勝ち負けでは測れない魅力を持っています。人と張り合わない子なので、穏やかな人間関係を築けるでしょう。
お子さんと関わる時は、結果や成果を褒めるよりも、お子さんが喜ぶポイントを押さえて褒めていくことが大切です。たとえば、力の欲求が弱く、愛・所属の欲求が強い子には「ありがとう、嬉しいよ」と声をかけたり、力の欲求が弱くて楽しみの欲求が強い子には「面白い発想だね」などと伝えたりしましょう。こうした声かけがあると、欲求が満たされやすくなります。
言葉だけでなく、手紙やメッセージボードに書くのもおすすめです。日々の関わりを積み重ねて、数字には表せない人間性を育んでいきましょう。
ステップアップを経験しよう
成果が出ないことを気にしないため、成功や失敗などの結果を振り返って次につなげる意識が薄いかもしれません。こうした傾向がみられた時は、良い点と改善点を一緒に振り返ると、お子さんなりにステップアップを図っていけるでしょう。
(失敗した時の振り返り方)
- 1. よかったことを伝える
- 2. 改善ポイントを振り返る
- 3. よかったことをもう一度振り返る
失敗を気にしないタイプだからこそ、振り返りの機会を作り、学びを深めましょう。
他の人の意見と分けて考えよう
自分が目立つことを求めていないために、意見を言えずに流されてしまうことも。
そんな時は「へぇ。〇〇さんはそう言ったのね。あなたはどう感じたの?」「どう思ったの?」と質問してみましょう。
他の人の意見を受け止めた上で、自分なりに考えたり、表現したりしていけます。人の意見を聞くだけでなく、自分の意見にも焦点を当てることが大切だと伝え、関わっていきましょう。
Challenge(挑戦するときの関わり)

自分で自分を評価しよう
社会的な評価を気にするタイプではありませんが、自分の成長を感じられる経験はプラスになるはずです。
お子さんが努力した時は「前の自分と比べると、何ができたかな?」「100点満点中、何点ぐらいかな?」と声をかけましょう。お子さんなりに、自分の成長や達成を感じられます。
勝ち負けじゃない結果を考えてみる
スポーツや習いごとなど、競争や勝負ごとには興味を示さないことも。だからといって「負けてもいい」とは思っていません。お子さんなりに、真剣に勝負に臨んでいます。
勝ち負けにこだわらない様子にモヤモヤした時は、勝ち負け以外でお子さんが大切にしていることは何かを考えてみましょう。
「良い結果を出したら、お父さん/お母さんが喜んでくれた」「友達と一緒に頑張った時間が楽しかった」など、勝ち負け以外の成果に着目し、お子さんを見守っていく姿勢が大切です。
勝ちたくないわけじゃない
お子さんに対して「どうしてもっと頑張らないの?」と感じていませんか?力の欲求が弱い子は「勝ちたくない、頑張りたくない」と最初から諦めているわけではありません。
競争でやる気を引き出そうとするよりも「この子がやる気になるポイントはなにか」「どのような場面で自主的に取り組めるのか」を振り返ってみましょう。
勝負ごとに関する価値観がわかると、お子さんの欲求を満たす方法が見えてきます。自分なりに社会貢献できる方法が学べるよう、サポートしていきましょう。
頑張りの「モト」を探ろう
力の欲求が弱いお子さんの原動力は、1番強い欲求にあります。お子さんが自分なりに欲求を満たせるように、1番強い欲求にも着目して関わってみてください。
例)
力の欲求が弱い✖️愛・所属の欲求が強い場合
チームや友だちの頑張りを見ると「自分も頑張ろう」と思えるタイプです。友人とともに共通目標を目指すことで、頑張る喜びや、熱中できる自分に出会えるかもしれません。
力の欲求が弱い✖️自由の欲求が強い場合
自分の意思で自由に表現できることが行動の原動力になるタイプです。ダンスに例えると、大会で優勝するために練習するのか、自分の個性を表現するために練習するのかで、やる気の大きさが異なります。お子さんが頑張れるように、自分らしく表現できる機会を大切にしていきましょう。
力の欲求が弱い✖️楽しみの欲求が強い場合
「ワクワク」「面白そう」などの好奇心が行動の原動力になるタイプです。苦手なことでも、好奇心をくすぐる部分があれば、自然と前向きに取り組めます。一方的に目標を課すよりも、本人が楽しめる切り口を見つけて、取り組んでいきましょう。