解説・説明 (子ども)
愛・所属の欲求が強い人
- 子ども
- 強い欲求

愛し・愛されたいと思う欲求
愛・所属の欲求とは、親子や夫婦、友人など、自分以外の誰かと「親しくなりたい」「関わりたい」「愛し愛されたい」と思う欲求です。学校や会社において、他者と親しくなることは、孤独の克服にもつながります。人との関わりは、行動の原動力になります。
愛・所属の欲求が強い子は「愛し愛されたいタイプ」
考え方や行動の傾向
人のために行動することが大きな喜びとなるタイプです。時間や経験を共有することを好み、自ら人に関わっていきます。多くの人とコミュニケーションを取るため、周りから頼られる場面も多いでしょう。
大切にしていること
- 家族や友だちとの関わり
- 人を愛すること
- 人に愛されること
- 誰かに喜ばれること
ポイント
愛・所属の欲求が強い子は、人と一緒にいることを好む傾向があります。そのため、一緒に過ごす時間を大切にしましょう。孤独感を抱く状況はなるべく避けることをおすすめします。
また、誰かのために行動できる分、周囲に振り回されたり、自分の気持ちを後回しにしたりする場面があるかもしれません。心の奥に隠している思いがないか、子どもに確認し、寄り添った関わりを意識しましょう。
愛・所属の欲求が強い子のための9か条
Base(ふだんの関わり)

なにげないやりとりでOK
愛し、愛されたい欲求の持ち主ですが、特別なやり取りを望んでいるわけではありません。日常のなにげないやり取りでも、欲求を満たすことは可能です。
欲求を満たす行動の例)
- ちょっとしたスキンシップ
- 目を合わせて会話
- ハイタッチ
- くすぐりあい
こうしたさりげないやりとりで、細やかに愛を伝えることができます。「お父さん/お母さんはいつもあなたを気にかけているよ」というメッセージとともに、お子さんの欲求が満たされるよう行動していきましょう。
会話のキャッチボールと約束を
仕事や家事に追われると、忙しくてお子さんの話をゆっくり聞けない日もあるでしょう。しかし、話しかけても無反応や無視が続くと、お子さんのストレスにつながってしまいます。
忙しい時は「洗い物が終わったら聞かせて」「寝る前にゆっくり話さない?」と、お子さんの発言を受け止めた上で、約束しましょう。
なお「あとで」と伝えた約束は守ることが大切です。どうしても忘れてしまいそうな時は「忘れていたら、あとでまた言ってね」とリマインドしてもらうのもよいかもしれません。
感謝の言葉が大きな喜び
人を支えようとする、優しい心を持っています。お子さんが自主的に行動してくれた時は「〇〇してくれてありがとう」と言葉にして伝えましょう。
積極的にお世話してくれた時は「妹の手をつないでくれたのね。優しいね」などと伝えると、お子さんは喜びを感じます。
感謝の言葉を口にして、お子さんのよさをぐんと伸ばしていきましょう。
自分を満たすことも忘れずに
人のお世話や気配りが上手な反面、つい自分のことを後回しにすることも。その結果、人との関わりにストレスを感じる可能性があります。
お子さんが疲れたり、つらそうにしていたりする時は「どうしたの?」と話を聞いてあげましょう。無理をしていそうな時は「我慢しないで、自分がしたいことをやってもいいんだよ」と伝えるのも一つです。お子さんが自分自身をケアできる(満たせる)ように、意識的に関わりましょう。
時には距離感も大切に
愛情や優しさがあふれるタイプですが、欲求のままに行動すると、相手に「おせっかいだ」と思われたり、逆に都合よく扱われたりする可能性も。
トラブルに巻き込まれないためにも、人との距離感を適切に保つ必要があることも伝えていきましょう。
友だちのお世話ばかりしている時は「お友だちは自分でやりたいみたいだよ。次はお手伝いしていいか、聞いてからにしようか」と説明すると、相手の気持ちを尊重する必要性が学べます。お子さんが適切に欲求を満たし、他者と関われるようにサポートしていきましょう。
Challenge(挑戦するときの関わり)

誰かの顔を想像させよう
「人を喜ばせたい」という思いが、行動の原動力になる子です。誰かの顔を想像することで、挑戦や習慣化を促していけます。
たとえば、歯をきれいに磨いてほしいと思った時は「ハミガキして虫歯が無くなると、ママも歯医者さんも嬉しいなぁ」と伝えると、意欲的に歯を磨けるでしょう。
特定の存在を意識することで、お子さんは前向きに行動できます。習いごとや勉強など、新たなチャレンジに取り組む時も、ぜひ活用してみてください。
人に囲まれて成長する場を
周りの人を大切にする力は、ピカイチです。団体競技やブラスバンドのような環境では、特に力を発揮できるでしょう。
「一人は、みんなのために」の気持ちで周囲を笑顔にすることもできます。人に囲まれた環境で、欲求を満たしながら成長していきましょう。
さりげなくそばにいて、話を聞く
誰かのために行動しても、うまくいかない時はあります。愛・所属の欲求が強いと、周りに理解してもらえないジレンマや孤独感、寂しさがつのる可能性もあるでしょう。
そんな時はお子さんに寄り添い、本音をそっと尋ねてみましょう。改まって聞くよりも、さりげなく聞いたほうが心の内を話してくれるかもしれません。お子さんが話してくれた時は、周囲に気配りできていることを認めてあげてください。
複数の「居場所」が心の安定に
孤独を感じさせないための工夫として、複数の「居場所」を持つことをおすすめします。
習いごと・クラブ活動・親戚やご近所付き合いなどのつながりが、心の拠り所になります。お子さんの居場所を複数つくり、心が安定する環境を整えていきましょう。