関係

子どもを思いどおりに変えようとしない

「将来のために」という思いから、お子さんに「〇〇したほうがいいよ」「〇〇しなさい」と言うこともあるでしょう。お子さんを導こうとする(=変化を求める)のは、愛情があるからかもしれません。

しかし、子どもには子どもの基本的欲求があります。保護者の方の言うとおりに行動しても、欲求を満たすことはできません。また、保護者の方の価値観に沿って行動しても、成長できるとは限らないのです。

子どもの将来を思うのであれば「欲求を満たすこと」と「できることを増やすこと」をセットで考えましょう。また、保護者の方が「こうなってほしい」と思う姿と、お子さんが「こうしたい」と思う姿が違う可能性があることを、忘れないようにしましょう。

でも、ずっとダラダラしててもいいの?


「子どもの欲求を大切にする必要がある」と頭では理解でしていても、すべての行動をゆるして認めるのはなかなか大変です。たとえば、家で宿題もせずダラダラしているお子さんを見て、次のように考えた経験はありませんか?


  • 「毎日決まった時間に宿題してほしい」
  • 「後々になるのは不安・面倒」
  • 「親としてなんとかしなきゃ」


このような思いから、お子さんを叱ったり、注意したりした経験のある方は少なくないでしょう。

しかし、基本的欲求の観点で見ると「ダラダラ=ゆっくりして自分の欲求を満たす行為」と捉えることができます。つまり、ダラダラする行為は、欲求を満たすために必要なのです。

お子さんがなにもせずダラダラしていると、口を出したくなるでしょう。しかし「ダラダラは良くないこと」と思っているのは、子どもではなく自分(保護者の方)なのかもしれません。

「いつまでダラダラしているのだろう」とモヤモヤする日は、気持ちを楽にするために、次の対応を参考にしてみてください。

見方(イメージ)を変える

「ダラダラしているなぁ」→「今日は疲れたのかな?」
「いつになったら動くのだろう」→「そういう日もあるよね」

行為を変える
一緒にダラダラしてみる、それぞれ違う趣味を楽しむ

お子さんへの接し方には「叱る」「注意する」「責める」以外にも選択肢があります。怒りや不満を感じた時は、考え方(思考)や接し方(行為)を変えるといったアプローチもあるのです。

これまで「子どもをどうにかしなきゃ」「根気強く見守らなきゃ」と頑張ってきた方は、頑張る方向を少しだけチェンジして、自分の思考や行為を変えてみましょう。無理に感情をコントロールするよりも、親子でお互いに気分よく過ごせる方法が、きっと見つかるはずです。

植物にたとえて考える


「子どもにそこまで優しくできないよ!」と思う時は、植物に置きかえてみましょう。たとえば、次のように考えて植物を育てたとします。


  • 「こういうふうに育てよう!」
  • 「絶対に赤い花を咲かせるんだ!」
  • 「なぜ今、花が咲かないんだ!」


このように考えても、思いどおりの花が咲くとは限りません。しかし、そのことに怒る方は少ないのではないでしょうか。むしろ「どんな花が咲くのかな?」「すごい!この夏でぐんと伸びたなぁ」と、過程を味わいながら育てる方が多いはずです。

こうした考え方を子育てにも活かせると、お子さんの成長過程をもっと気楽に見守ることができるでしょう。たとえダラダラしていたとしても、「今日は外で頑張ってきたのかな」「気分転換しているのかな」などと見方を変えることができるはずです。

ダラダラしているお子さんを変えるのではなく、「ダラダラしている行為」への見方・考え方を変えることが、保護者の方ができることだといえます。


日頃「◯◯しなきゃ」「◯◯すべき」と考えていることはありませんか?

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